自分の部屋から締め出され事件

実家の私の部屋には鍵が付いている。
何故普通の部屋に鍵なんかが付いているかというと、私が中学生の頃、
自分のプライベートを守りたい一心で、当時の私には大金だった4000円で
購入した鍵付きドアノブと交換したからだ。

 

そして時は流れ、私は一度関東に出て働いてはいたものの、結局故郷に
Uターンしたため、今はまた実家暮らしをするようになった。
部屋も当時使っていた部屋をそのまま使うことに。そう、鍵のかかる部屋を。
勤務時間が不定期な仕事のため、家族による安眠妨害を防ぐのには丁度良かったが、
特にそれ以外のときには鍵を掛けることはなかった。
外出時に掛ける必要もないので、そのドアを開ける鍵自体、どこに置いているのか
わかっていないような状況だった。

 

そんなある日、買い物から帰ってくると、ドアが開かなくなっていた。
ドアが壊れたとかではなく、鍵がかかっている。
この家には、わざわざそんな悪戯をするような子供はいない。
つまり、私自信のミス以外に考えられない。
この4000円のドアノブは、鍵付きの中では最も安いものだった。
言い換えれば最も安い作りをしていた。
内側から鍵を掛けるためのツマミは、回してもカチっとセットされるわけではなく、
ただクルッと回るだけ。
私は部屋から出るとき、服か何かが引っかかってツマミが鍵を掛ける状態になったことに気づかず、
そのまま閉めてしまったらしい。

 

冷や汗が流れる。これはもしかしたらピンチなのではなかろうか?
そんなとき、ふと脳裏によぎったのは、鍵というものの仕組み。テレビか何かでやっていたものだ。
鍵穴の中は、いくつかの棒が降りてきていて、つっかえた状態になっている。
それを鍵でピッタリと押し上げて回せるようにするという仕組みだったはずだ。

 

そしてすぐさま用意したのは、伸ばしてただの針金になったクリップと、マイナスドライバー。
ドライバーで回す方向に力を入れながら、針金で上の棒を押す。
押しすぎても開かないはずなので、何度もやり直す。
そして繰り返し試していると……
開いた!

 

なんとか事態が解決し、安心したと同時に気疲れが押し寄せる。
もう、この鍵は開いた状態で固定させておこう。